党議拘束は国民の政治離れを加速する

所属する党の政策に100%賛成する政治家は、その党の独裁者でもない限り存在しない。どの党のどの政治家にも、賛成する政策もあれば反対する政策もある。

しかし、たとえ党の政策に反対であっても、党議に拘束された政治家は、それを自らの政策として議論もすれば演説もする。そして、議論する時は相手を論破しようとするし、演説する時は聴衆を説得しようとする。が、自分自身が賛成していない、もしくは反対している政策を正しいと主張して相手を論破・説得できるとすれば、それは双方の知能に相当の差がある場合である。

新しい法案に賛成の党の政治家が本心から賛成しているとは限らないし、反対の党の政治家が本心から反対しているとも限らない。本心では反対の政治家が賛成の論陣を張り、あるいは逆に本心では賛成の政治家が反対の論陣を張って議論することすら起こり得る。そういったことを当たり前の前提とする党議拘束は、国民を愚民扱いするものに他ならない。

党議拘束が強ければ強いほど政治家は党の伝言板にすぎなくなり、個々の政治家の本心からの政策が分からなくなり、国民と政治家の距離を広げ、ひいては国民の政治離れを加速させることになる。