臓器移植法は議論されることなく作られた

「臓器移植法案は、人の死を定義するという議員個人の宗教観に関わるような議案である」という理由から共産党以外は党議拘束を外し、議員各自の判断で賛否の投票を行った。しかし、国会で自らの意見を表明して議論したのは一部の議員だけであり、ほとんどの議員は投票だけで済ませ、言葉による意見の表明をしなかった。

党議拘束が掛かっていれば同じ党の議員の発言を以て自分の意見に代えることができるが、党議拘束が外れると自分の意見は自分で言わなければならなくなる。にもかかわらず投票だけしかしなかったのは、意見が無いか議論を放棄したかのどちらかである。

党議拘束の廃止は全ての議員に対して全ての議案への意見の表明を求めるので、議員の負担の増大と議論の長時間化をもたらす。が、実際には、臓器移植法案の党議拘束を外した時のように、投票による賛否以外の意見表明をしない議員であふれかえることになる。