忘れられる権利は言論統制を招く

マスコミは取材と報道によって蓄積された犯罪者のデータベースを持っている。グーグルはキャッシュを取得することによって、2ちゃんねるは過去ログを保存することによって、犯罪者のを含む各種のデータベースを持っている。

データベースの構築には莫大な費用がかかるため、現状では一部の組織や研究者などしか持っていないが、技術開発による記憶媒体の小型化・大容量化・低価格化が進めば、将来的には誰もが犯罪者のデータベースを持てるようになる。

そうなった時に忘れられる権利を保護しようとすれば、特定の企業だけでなく全国民を対象にしなければならなくなり、「実名報道を禁止したり裁判記録を非公開にしたりして初めからデータベースを作れないようにする」か、「個人のPC・スマホなどを検閲してデータベースがあれば強制的に削除する」か、「通信を傍受して当該データを発見すれば送受信者を検閲する」しかなくなる。

グーグルや2ちゃんねるなどに情報の削除を要求するだけで済んでいるのは、データベースが普及する過渡期に過ぎないからであって、データベース革命が起こった時には、忘れられる権利を取るか言論統制を取るかの二者択一を迫られることになる。